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【Vol.24】 水本裕貴選手 【背番号4・DF】

 J1リーグ通算350試合はあくまでも通過点と語る水本選手。残留という目標に向かって、24時間サッカーに身をささげる覚悟です。
 
水本裕貴選手 【背番号4・DF】|リビングひろしま
水本裕貴選手 【背番号4・DF】
 
 
 24節が終わって、Jリーグ戦に全試合先発出場している水本裕貴選手。だからこそ、見えてくるチーム状態について聞くと、「監督も変わり、すごく苦しいですが、誰一人後ろ向きな選手はいません。夏に力を発揮する選手たちが加入したので、今こそ底力の見せどころです」ときっぱり。

 10年間やってきた守備の形が変わることについて、「戸惑いはありますが、新しい発見やたくさんのことを学ぶ機会でもあります」と前向き。新しいシステムに適応するポイントとして、「声を掛け合って一つになり、相手の攻撃をしのいでいけば、必ずうちのリズムになるはず」と、声掛けの必要性を説きます。高橋選手には細かく指示したり、緊張する森島選手の心をほぐすことなど、若手選手への配慮も欠かしません。

 5月20日の甲府戦で、J1リーグ通算350試合出場を達成。その過程には、頭蓋骨骨折などの大ケガもあり、選手を辞めることまで考えました。「サッカーがやれている今、純粋にうれしいです。ケガをする前より、プレーが楽しめるようになりました。改めて思うのは一人じゃないってこと。サポートしていただいた方々に感謝です。24時間サッカーのために費やしたんです」と語ります。

 残留に向かっての決意を聞くと、「サポーターの皆さんには心配をかけています。ほんの少しの掛け違いが、こうした結果になっているので、しっかりやることをすれば、必ず勝つ確率は高まってくるはず。不安を吹き飛ばすプレーを見せていきたいです」と、最後を締めくくってくれました。
 
 

WEB オリジナル

 

変わることをポジティブに考える

編集部

24節が終わって水本選手は、Jリーグ全試合先発出場しています。だからこそお聞きしますが、今のチームの状態はいかがですか。
 

水本

チームにとっては、苦しく厳しい状況ですが、誰一人として後ろ向きな選手はおらず、
皆、前向きにやっています。それに、夏に力を発揮する選手たちが加入したこともあり、ここから残留に向かって、頑張っていこうという雰囲気です。
 

編集部

ヨンソン監督になって、守備の形が3バックから4バックへと変わりました。10年間、同じシステムだったのでこれを変えるのは大変ですね。
 

水本

もちろん戸惑いはあります。その中でシステムを変える難しさはありますが、新しい発見や、学ぶ機会にもなります。
 

編集部

J1残留のキーポイントは、水本選手や千葉選手などディフェンス陣が、どれだけ新しい形に適応するかにかかっていると思いますが…
 

水本

完封して必ず勝ち点3をもぎ取っていくためにも、今こそ守備陣が力を見せるときだと思っています。
 

編集部

その力を見せるために必要なことは何ですか。
 

水本

90分通して、自分たちの思い通りにいかない展開が必ずあると思います。そういったときこそ、ばらばらになることなく、皆で声を掛け合って、一つにまとまって、相手の攻撃をしのいでいけば、またうちのリズムになるはずです。
 

編集部

高橋選手など若手の選手へ、細かく指示されているようですが…
 

水本

新体制へアジャストするために、必要なこととは、コミュニケーションをしっかり取ることだと思います。千葉選手とは、ずっと一緒にやってきているので、阿吽(あうん)の呼吸と言うか、多くを語らなくてもお互いの良さとか、カバーしあう関係ができていると思います。一方、高橋壮也選手とは、まだそんなに組む機会がなかったので、だからこそ、コミュニケーションをとって、高橋選手のやりたいこと、自分がやってほしいことを伝え合うようにしていますね。
 

編集部

森島選手には、浦和戦の前に心をほぐしたりと気を配られていますね。
 

水本

自分が若いときは、先輩方に声を掛けてもらっていました。僕らぐらいの世代の選手は、同じように若手選手に声を掛けたりしていると思いますよ。僕一人が、いろいろな所に気を配るというよりは、気付いたところがあれば、お互いが言い合うというのが、このチームの伝統でもあります。今は、ほんの少しのかけ違いが、こういった結果になっていると思うので、しっかりやるべきことをやれば、勝つ確率が高まってくると思っています。
 
 

気持ちを切り替えて次のプレーに集中

編集部

水本選手は、警告や退場を受けるようなラフプレーが少ない選手ですね。
 

水本

もちろんプレーの流れの中で、仕方ない部分があるかもしれないですが、そうなる前にしっかりとしたポジショニングだったり、準備ができていれば、安定した守備や戦いができると思っています。イエローカードやレッドカードをもらうと、チームに迷惑をかけてしまいますから、なるべく少なくしなければいけません。
 

編集部

8月9日のガンバ大阪戦では、水本選手のプレーに対してPKとの判定。あれは、どう思われていますか。
 

水本

もちろん、審判があってこその試合なので、ああいった結果になったことは反省しなければいけません。ただ、今まで自信のあったプレーに対して違う判定を下されたときは、いら立つときもありますが、いつまでも引きずっていたら、次のプレーができなくなります。サッカーは、野球や相撲のように、判定は覆せないスポーツ。それがサッカーの醍醐味でもあります。判定が変わらないのは分かっているので、すぐ気持ちを切り替えて次のプレーに集中すべきです。
 
 

24時間、サッカーのために費やすのは当たり前

編集部

5/20の甲府戦では、J1リーグ通算350試合出場(47人目)おめでとうございます。
この記録の重みをどう感じておられますか。
 

水本

「まだまだ」と思う気持ちがあるので、350という数字は、ただの通過点という感じです。ただ、プロに入ったときには、ここまで試合に出られるとは想像していなかったですけどね。
 

編集部

ここに至るまで、大きなケガもされましたね。2011年には、頭蓋骨が折れて26針も縫う大手術でした。
 

水本

あのときは、サッカーができるかできないかの状態だったので、それを思えば、今、サッカーをやれていることは純粋にうれしいです。
 

編集部

「サッカーを続けるんだ」と、あのとき決意をされた理由は?
 

水本

サッカーはもうできないと、半分辞めるつもりでいました。ただ、サポーターの方だったり、当時の監督さんやクラブのスタッフだったり、何より家族の支えが、もう一回サッカーをやるという気持ちに少しずつ向かわせてくれました。あのとき、妻から「サッカー、やってもいいんじゃない」という一言が、僕の背中を押してもらった感じです。
 

編集部

大ケガをしたからこそ、その後の生活面やサッカーへの考え方が変わったことがありますか。
 

水本

ケガをする前と比べ、サッカーができているだけでうれしいですし、プレーを楽しめるようになっていますね。一日一日を積み重ねた結果が、350試合出場という記録につながったと思います。もちろん若いときに比べれば、睡眠や食事、体のケアに神経を使うようになりました。とにかく24時間サッカーのために費やすという気持ちです。そのため、サッカーに支障があるのであれば、家族には多少我慢してもらうこともあります。
 

編集部

350試合には、いろいろな人の支えがあったのですね。
 

水本

改めて思うのは、一人じゃないということ。支えていただいた方々への感謝の気持ちは忘れないでおこうと、常に肝に銘じています。
 
 

厳しいサッカー人であり、2人の娘のよきパパ

編集部

先日、広島市こども文化科学館の要請で、35組の親子の前で、読み聞かせをされましたね。
 

水本

先方から「ぜひやってくれないか」とお願いをされ、「普段、自分の子どもにむかって読んでいる感じでいいから」と言われました。『おおきなかぶ』と『だるまさんが』というシリーズを読みました。
 

編集部

気持のこめ方や間の取り方が絶妙と聞きました。
 

水本

自分では意識はしていないですけど、小さいころから本に触れる機会が多かったので、それも影響しているのかも。
 

編集部

広島土砂災害の被災地の子どもたちを試合に招くなど、今も「水本シート」を実施されていますね。
 

水本

広島土砂災害が発生する前から、子どもたちを試合に招いていました。確か最初は、サッカー教室が盛んな安佐南区の緑井小学校の子どもたちでした。スタジアムで実際の試合を見てもらいたいという思いがきっかけでした。その後、土砂災害が発生し、緑井、梅林小学校地区が被災地となりました。サッカーを通して、少しでも子どもたちに喜んでもらえたらという思いで、今でも「水本シート」を続けています。サッカーが好きな子もいれば、中にはサッカーに興味がなくても、これがきっかけでスタジアム行ってみようかと思ってくれればいいと思っています。僕も小さい頃、親にサッカーや野球に連れて行ってもらったことを今でも覚えています。僕は、三重県ですから、中日ドラゴンズ一色。広島に来てから、カープについて詳しくなりましたけど、僕の中では、やっぱり中日は気になりますね。広島の子どもたちがカープに興味があるのと一緒で、うちの娘もカープが気になっているようです(笑)。
 

編集部

J1残留に向けての決意を聞かせてください。
 

水本

今シーズン、ファンやサポーターの皆さんには、大変もどかしい気持ちを抱かせていると思いますし、なかなか結果が出ていない状態に心配されていることも分かっています。これから先は残留という目標に向かって、そういった心配を吹き飛ばすようなプレーを見せていきたいと思っています。ファンやサポーターの皆さんとも一緒に戦っていければ、僕たちもさらにパワーを発揮できると思うので、スタジアムへ足を運んで僕たち選手の背中の後押しをしていただきたいです。たくさんの声が僕たちの力になりますので、よろしくお願いいたします。
 
 

読者からの質問について

Q:ゲン担ぎ・ルーティーンは?

 

水本

左足からピッチに入るぐらいで、ルーティーンはなるべく作らないようにしていますね。
 

Q:ご自身の性格は?

 

水本

マイペース。自分が興味あることには没頭するけど、興味ないことは見向きもしない。
自分がやりたいとか食べたいと思ったことしかしないですね。だいぶ家族には迷惑をかけていると思いますけど…(笑)。なるべく、感情を顔に出さないようにしています。常に笑顔でいられたらなと思っています。嫌なことさえも笑い飛ばせるようになりたいです。苦しいとき、辛いときに笑い飛ばせるような、心の強さを身に付けたいと思っています。
 

Q:休日の過ごし方は?

 

水本

なるべく家を出て、リフレッシュするよう心掛けています。
 

Q:趣味や特技は?

 

水本

読書ですね。最近は『アキラとあきら』ですね。wowowのドラマでやっていたと思います。いろんな本を読んで、いろんな知識とか世界が得られればいいな。知らないことを知るのが楽しいです。
 

Q:選手コラボメニューでは、必ず「伊勢うどん」ですね。

 

水本

土曜が半日授業で、両親が働いていたので、家に帰ったらおばあちゃんが「伊勢うどん」を作ってくれていました。それを食べて、サッカーの練習に行くというのが、僕の子ども時代。三重県では、ポピュラーな食べ物なのですが、たぶん広島の人は食べる機会がないと思うので、コラボメニューのときはいつもお願いしています。
 

Q:三重県出身と言えば、森島選手、浅野選手ですよね。インスタでやりとりしているそうですが…

 
 

水本

浅野拓磨選手とは、ちょくちょく連絡をとっています。三重県は、広島や東京のように数多くのサッカー選手が出ているわけではないので、同県人としてつながっちゃうんです。
 

Q:サンチェ体操がすごく上手らしいですが…

 

水本

下の子がダンス好きなので、一緒に踊ることもありますよ。また、先日の図書館の読み聞かせのイベントのときもサンチェ体操があって、そこで子どもたちと踊ったので、踊れるようになりました(ちょっと意外)。
 
 

動画


 

PROFILE プロフィル  水本裕貴選手 【背番号4・DF】

1985年9月12日生、三重県出身。広島土砂災害の被災地の子どもたちを試合に招く「水本シート」を継続中。験担ぎは左足からピッチに入ること。好きな食べ物は「伊勢うどん」。特技は本の読み聞かせで、気持ちの込め方や間の取り方が絶妙とのこと。趣味も読書で、最近『アキラとあきら』を読んだそう。ダンス好きの次女の影響でサンチェ体操が上手。子煩悩な2児のパパ。  
 
【性格を自己分析】「マイペース派。自分がやりたいとか食べたいとか思ったことしかしないので、たぶん家族には迷惑を掛けてるだろうな〜(笑)
 
 
 
  
 
提供:広島リビング新聞社
(「リビングひろしま」2017年9月9日号掲載)
 
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