LIVING Selection
過去の歩みには自信を!
昔の自分が頑張ったから今の自分がある
天海祐希(あまみゆうき)

天海祐希さん
「監督さんから、とにかく疲れてくださいと言われました(笑)」。スタイリッシュな天海祐希さんが、映画「恋妻家宮本(こいさいかみやもと)」で阿部寛さんと平凡な夫婦を演じる。「阿部さんの、ちょっと気弱で器の小さいキャラは楽しかったです。私自身は、夫も子供もいないので、娘の立場として両親は夫婦としてこんな道を歩んできたのかなと思いを馳(は)せてみました」。些細な不安を抱えて臆病になる日常をスマートな二人が演じるギャップもまたチャーミングだ。
「夫に対して不満はないけど不安はある」という漠然とした思いや、「あのときこうしておけば…」と過去への後悔を抱える主人公たち。同世代として天海さんは「不安はもちろんわかります。でも私は先々にあまり不安を抱いてなくて、今日一生懸命生きれば明日につながるんじゃないかっていつも思っています」。
「むしろ自分が歩んできた道に自信を持つほうがいい」と言う。「だってここまで元気で生きて来られて、今ここに自分が居るのは何であれ成功でしょう。過去の自分が頑張ってくれたから今の自分があるんだもの。20年以上前の宝塚時代の私には“頑張ってくれてありがとう”と言いたいです。それを5年後に、5年前の今の私に言えるようにしたい。今、自分が頑張ることは、未来の自分に対するプレゼントでしょ」
劇中のテーマ「正しいことより優しいこと」を実感している天海さん。「私も昔はとんがっていたけれど、今は緩くなってラクになりました。若いうちは、自分が正しいと思うことを拳を上げちゃうもの。でも正しいことは、万人にとってではなくて自分の中の正義。正解や正義は人の数だけあると受け入れられるようになるのは、年齢と経験に比例すると思う。私もいい意味であきらめることができるようになりました。あきらめるというと後ろ向きな言葉ですが、選択肢からサッパリ外してしまう感覚ですね」
キャスティング・文/かしわぎなおこ 撮影/渡辺真一 ヘアメイク/林智子 スタイリング/篠塚奈美
PROFILE 天海祐希(あまみゆうき)
1967年8月8日、東京都生まれ。O型。
1987年宝塚歌劇団入団。1993年月組トップスター就任、1995年退団、以降ドラマ「女王の教室」「BOSS」「Chef〜三ツ星の給食〜」などや、映画「アマルフィ女神の報酬」のほか「、蒼の乱」など舞台でも活躍中。映画「恋妻家宮本」は1月28日(土)から公開。3月には映画「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜」公開予定。
提供:広島リビング新聞社
(「リビングひろしま」2017年1月28日号掲載)