このひとにあいたい 【話題人登場】
【イクボス同盟ひろしまの活動】
10人いれば、10通りの働き方があっていい…それが今流
NPOファザーリング・ジャパン代表理事 安藤哲也(あんどうてつや)さん

NPOファザーリング・ジャパン代表理事 安藤哲也さん
「働き方を変えないと、企業は生き残れません。トップの考え方次第です」と、厳しく指摘するのは、父親の子育て支援・自立支援事業を行うNPO法人ファザーリング・ジャパンを10年前に立ち上げた安藤哲也さん。先月「イクボス養成講座」の講師として、広島を訪れました。
近年「イクメン」という言葉が浸透し、男性が育休を取得することに理解を示す企業が増えました。その反面、「長時間労働や仕事量から、平日は早く帰宅することができず、週末だけのイクメンになっている男性が多いことも事実」と安藤さん。一番の理解者である妻や両親から、“育休を取ったら評価が下がって昇進できないのでは?”と心配されて反対されるケースがあるそうです。
そこで、安藤さんが広めているのは“イクボス”。会社の業績や結果を出しつつ、一緒に働く部下やスタッフの仕事と生活の両立を考え、自らも仕事と私生活を楽しむことが出きる経営者・管理職のことを指します。
これからの経営者や上司像を聞くと、「個々の事情を理解しながら、気持ちよく、長く働くことができる会社・職場づくりを目指すよう、時間的制約のある社員をコントロールする公私混同型マネージメントや、ワークライフマネージメントのできる人です」と強調。「忙という字は、心を亡くすって書くでしょう。部下は、忙しそうに見える上司には相談しにくいものです。手帳には、予定のない予定を入れなさいと指導しています。時間のゆとりと、心のゆとりはリンクします」と話します。
一方、雇用者は、“仕事だけが人生じゃない”というマインドを持つことだそう。その上で、仕事と生活の両方を楽しむコツを聞いたところ、「仕事や育児は、やっぱり大変ですよ。それを“大変だ大変だ”と言っても仕方がないので、どうやったらバランスがとれるのかを皆で考えること」。笑っているお父さんを増やそうと、安藤さんは全国を飛び回っています。
PROFILE
1962年、東京都生まれ。NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事や、社会的養護の拡充と児童虐待の根絶をめざすNPO法人タイガーマスク基金の立ち上げなどを行う。2014年12月に、「イクボス企業同盟」を設立し、男性の育児スタイルや働き方についての講演会などを実施
提供:広島リビング新聞社
(「リビングひろしま」2016年4月9日号掲載)