弁護士山下江の“納得”法律のプロに聞け!
請求を続けていれば時効にかかりませんか 【相談者/55歳(女性)】
Q 私は、約12年前に友人に200万円を貸しましたが、友人はいまだに一銭も返してくれません。私の権利が時効で消えると聞いたことがあるので、私は、5年前から毎年請求書を友人に送り続けております。大丈夫でしょうか。
A う〜ん。難しいかもしれません。今回のような通常の貸金債権の消滅時効は10年であり、請求書を出し続けていれば時効の進行は止まるというのは間違いだからです。相手に対して請求書を出すことが、時効の関係で意味を持つのは、時効完成の直前に請求書を出し、それから6カ月以内に裁判を起こせば、時効が中断する場合です。
Q それでは、私は諦めなければならないのでしょうか。何か良い方法はないでしょうか。
A 確実に成功するとは言えませんが、やってみるべき方法が、2つあります。1つは、友人に会って、例えば200万円のうち5000円でも1万円でも返してもらうことです。領収書を発行し、写しを取っておくべきでしょう。
もう1つは、友人に、200万円を確かに借りているという書面に署名(押印)をもらい、念のために、公証人役場に行ってその書面に確定日付をもらうことです(書面作成日が争いになることに備えて)。後者の場合には債務承認ということになり、時効が中断します。
前者の場合は時効完成後であっても一度支払った以上、信義則上、時効「援用」(そのことを主張すること)はできないとする判例があります。
Q すでに10年たっていても大丈夫ですか。

金銭トラブルはプロに相談を
A 時効は10年たてば当然効果が生じるものではなく、相手が「援用」して、初めて効果が生じます。問題ありません。
弁護士 山下江さん
広島弁護士会所属
広島市中区 山下江(やましたこう)法律事務所
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提供:広島リビング新聞社
(「リビングひろしま」2016年3月19日号掲載)