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スマートバーベキューで 人と人を結びつける楽しい演出
日本バーべキュー協会会長 下城 民夫

日本バーべキュー協会会長 下城 民夫
「焼肉とバーベキュー(BBQ)の違い、分かりますか」。答えに詰まっていると、「BBQ は茶道に通じます。どうしてでしょうか」と畳みかけて質問する、日本バーベキュー協会会長の下城民夫さん。6月中旬、BBQ初級インストラクター検定が行われ、その直前講習会に講師として来広しました。
本来のBBQは、日本でよく見かける焼肉スタイルとは違い、さまざまな食材を使作る奥の深い料理。「人と人を結びつけるパーティーの一種で、茶道と同じく“おもてなしの文化”です。一人で肉を焼いて食べている姿、BBQとは言えませんね」と仲間との楽しい時間を演出できることがBBQの魅力だそうです。
しかし、うちわでパタパタと炭を起こした、食材を炭にしてしまったり、あと片付けが大変だったりと、BBQは野外活動で体験した面倒なイメージがあります。「私たちの協会は、スマートバーベキューを提唱しています。ちょっとしたコツや有用な道具を知っているだけで、正しい火力管理ができるようになり、驚くほど上手に肉を焼くことができますよ」とニッコリ。
具体的に、実技講習でそれを証明します。例えば、空気の対流を利用したブリキ製の円柱型火起こし器「チムニースターター」で簡単に着火。手のひらを使って炭の温度を測定する「ミシシッピテスト」や、炭の置き方で火力を調整する「チャコールレイアウト」、グリルにふたをすることで蒸し焼きやスモーク焼きができる「カバーBBQ」など、知れば知るほど、手軽でおいしく楽しいBBQを体験できました。
さらに、炭から立ち上がる炎をピンポイントで消すために使用する水鉄砲は、子どもたちをBBQに参加させる小道具でもあることを例に、「BBQの楽しみは、仲間とのコミュニケーション。場づくりや人づくりにも気を配ってくださいね」と優しくアドバイス。着火や消火の際の注意点、環境への配慮、肉の種類や料理によって異なる炭の置き方なども学んで、3時間の講習会はあっという間に終了。自己流だったBBQが、スマートに変身した瞬間です。
取材・文/広島リビング新聞社 編集部 写真提供/日本バーベキュー協会
PROFILE
日本のアウトドアジャーナリストの経験から、日本バーベキュー協会を設立。同会会長を務める。欧米型BBQの進んだ技術と文化を学びながら、日本に本物のBBQ文化を伝えるために活動中。NHK「マサカメTV」(毎週土曜午後6時10分〜)などに出演。53歳
下城民夫さんの近刊本の紹介
『バーベキューレボリューション』2013年7月発行、(株)ネコ・パブリッシング(1,500円)114ページ、A4版
提供:広島リビング新聞社
(「リビングひろしま」2014年7月5日号掲載)